1. 私たちの性格や行動のなかには、性淘汰に基づく行動など、進化の原理が強く影響されている側面がある。殺人の分析から、男性が女性よりも圧倒的に多く殺人を犯していること、それも20代の男性が突出していることが世界共通の特徴として明らかになっている。これは、数の多い精子が数の少ない卵子をめぐって争うという生物共通の原理が人間に作用している影響だと解釈できる。その一方、殺人の件数はその社会や文化の枠組みのなかで大きく変動もする。まさに動物的と文化的という人間の二面性が浮かび上がってくる。
    文化と遺伝子の密接な関係も明らかになりつつある。「新奇探求性」と呼ばれる性格は遺伝的な要素が強く、遺伝子の塩基配列との相関が報告されている。反対に、文化が遺伝子変異の広がりを左右した例もある。牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素に関する突然変異は牧畜文化の広がりとともに広まったことがわかっている。