1. 信じようと、信じまいと―

    仏領ギアナ沿岸に浮かぶ小島に、300年ほど前に立てられた小さな教会跡が残っている。
    建てられてしばらくして、大時化の夜に神父が行方不明になって以来、そのまま寂れたと言う。
    当時、元画家だったその神父の手になる、対岸の町を写生した膨大なスケッチが発見されたとあるが、
    最後の晩の1週間前の絵から、塔ほどもある黒い人型の影が家々をのぞき込む様が、必ず描かれていたらしい。