(ヴィデオを見る。ドリャーおじさんが、「ドリャー!」と叫びながら、何度も崖から飛び降りる姿を映す。最後に、「なぜ、飛び込むのか?」と聞かれ、「前は健康のため、とか言ってましたけど、やっぱり、キザな言い方ですけど、男のロマンですね」と語る)
都築 僕はこれ、もう100回は見てるんですけど、見るたびに、頭が下がるんですよ。すごいと思うんだよね。ドリャーおじさん、地元の名物だけど、決して尊敬はされてないと思う。子供がいたら、確実にイジメにあってるみたいなさ。「おまえのとうちゃん、ドリャーやろう」って。けど、アーティストって、こういう人だと思うんですよ。みんな観光で東尋坊に行って、崖のところまでは行くけど、「さあ、早く旅館に帰って、温泉入って、美味しい甘海老食べよう」みたいになるわけじゃない。僕もそうしてきたし、危険なところには近寄らないで、帰って来いって教えられてきた。でも、なかには、こうやって飛び込んじゃう人がいるわけよ。飛び込むと、死が待ってるかもしれないけど、たまには、こういう、前人未到の世界に行くこともある。ゴッホだって、同じことをやってたわけですよ。生きてる間は、1枚も絵が売れなくてさぁ。やっとゴーギャンという友達ができたと思ったらすぐにケンカして、ショックで耳切り落とす、みたいな人が、実際に自分のまわりにいたら困ったもんだと思うけど、でも、死んだ瞬間に、ゴッホはトップ・アーティストとして扱われた。これと同じことは、アートの世界ではいろんなところで起こってる。アートっていうのは、そういう危険な要素があるものなんですよ。危険なところまで行かないと、面白くない。美大に行ってる子が、卒業してアーティストになるって親に言っても「アートはいいから、就職しなさい。アートは日曜にやればいいでしょ」って言われたりしがちなんだけど、でも、そんな安全なところでできることじゃないと思うわけ。ドリャーおじさんの精神を見習ってほしい。まぁ、人それぞれだし、いろんなやり方がありますけど、根底にはこういうスピリットがないと意味ないと思うんだよね。アートって、労多くして報われない世界ですよ、本当は。みんなも崖っぷちに立つことって絶対あると思うんだよね。今、崖っぷちの人もいると思う。そんなときは、「ドリャー!」と叫んで飛び込んでみたら、見たことない領域に行けるかもしれない。ってことを、今日は言いたかったわけですね。どうか、人の言うことを聞かない立派な人間に育ってください。ちなみに、ドリャーおじさんにインタヴューしたくて探してるんだけど、ここ4、5年、消息不明なんだよね。こういう人たちは、どんどんいなくなっちゃうんだよ。” —中里一日記: 私がドリャーおじさんだ (via reretlet) (via pinto) (via jinakanishi) (via suzukichiyo) (via dannnao, matakimika)
2009-03-20